第3話:行動で示す

トップ自ら行動する事の重要性をお話します。当初、工場長は5Sとは「やらせるもの」,「守らせるもの」という認識があったようです。ですから“躾”が一番大切だと考えていたのでしょう。しかしこれは、従業員から見ると「やらされる事」,「やるべき事」という事になります。誰もが苦痛を伴う活動には積極的になれるはずがありません。

 

本来、整理・整頓や清掃・清潔がなされた状態というのは、綺麗であったり使いやすい状態であったりするわけですから、気持ちが良いはずです。それが、やらされる“義務”となった瞬間から苦痛を伴う事への変化したのでしょう。

自分の家じゃないからやる気が出ない、という事ではありません。綺麗な場所と汚い場所では、誰もが綺麗な場所を選ぶはずです。指導する立場の人間は自分がまずやる事を示し、そしてその姿を見せる事が重要です。

今回は工場の従業員の人が出勤する際に、その通用口を“その工場のトップ”が目の前を掃除しているわけですから、

  1. まず自分がやる事を示す事。
  2. その姿を見せる事。

の両方を満たしていました。

とはいえ従業員の人は1ヶ月間、通りにくい雰囲気で出社されたに違いありません。毎朝自工場のトップがその姿勢を見せる事で、言葉よりも重く且つ的確に相手に想いを伝える事(少し露骨でしたが)に成功しました。

その結果、清掃に対する関心が高まり、今までは風景と化していたゴミに目が行く事で、結果として工場内が綺麗になったというわけです。

 

次回は、目で“みる”という事についてお話します。